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2006年5月25日 (木)

諸田玲子著『お鳥見女房』

シェアブログbookに投稿
かなり久々の単独読了本レビュー。この週末、読みかけだった本達をちらほら読み終えましたので。その中でも、個人的に光るものを感じたこの作品について少々。
胸がほっこりあたたまる家族愛物語でした!!

「お鳥見」とは、将軍家が催す鷹狩の準備全般を執り行うお役目の事。幕府の威信に関わると言っても過言ではない鷹狩の行事を、些かの綻びもなく成し遂げる為の言ってみれば裏方さんです。
このお話の舞台となる矢島家は、代々この御鳥見役に就いてきた家柄で。現主人の伴之助と妻珠世、年頃な4人の子供達(内1人は他家に嫁いでますが)、それに隠居の身である珠世の父・久右衛門…という、なかなかの大所帯で日々を健やかに過ごしております。

そんな矢島家に、ひょんな事から2組の居候が転がり込んできます…。先ずは石塚源太夫と名乗る巨漢の浪人。
故あって脱藩したというこの男、現役時代の久右衛門とたった1度だけ酒を酌み交わしたそのつてを頼りにやってきたのですが。その彼の頼みというのが、仕官が決まる迄自分と子供を住まわせて欲しいとの事…。国を出てから先何の当てもなく各地を渡り歩き、このままでは親子共々食いはぐれてしまう…というギリギリの状態に迄陥ってしまったそうです。
決して余裕のある扶持取りではない矢島家ですが、源太夫の心底切実そうな姿、それに何処か人なつこい愛嬌ある人柄…それらを信用し、どうにかやりくりして父子を預りましょう、という話にまとまりました。

がーしかし。2,3人家族が増える位ならどうにかなるでしょう、と思って受け入れを決意した訳でしたが…源太夫に連れられやってきたのは、何と何と5人のちびっ子勢揃い。しかもそれぞれがまだ腕白盛りの年頃なので、良く動き良く食べ良く騒ぐ…。
一気に賑やかな空気に包まれる矢島家ですが、食べ盛りが5人も増えてみるみる蓄えが減っていく事にもなり…一家を切り盛りしている珠世さんの頭を悩ます事となるのです…。

更にそんな中やってきたもう1人の居候。
次男久之助が、通っている道場で出逢った訳あり風の若い女剣士…。聞く所によると、父の仇を追ってはるばる江戸迄やってきたとかで。せめて仇が見つかる間だけでも置いてあげて欲しい…と珠世に懇願する久之助の頼みも又、彼女の境遇を思うと無下に断る訳にもいかず…。窮屈乍らも何とか彼女の同居も出来る形を整えました。
所がー、です。源太夫が脱藩に至った経緯というのが、果たし合いを頼まれ相手を返り討ちにした為でして。現在は倒した男の娘に仇と狙われている、という事実が…。そう、その娘こそが、今はひとつ屋根の下に暮らす女剣士・多津だったのです…。

物語は、家の事を一手に担っている妻・珠世さんを中心に描かれていきます。主人の伴之助が遠方へのお務めで留守にしている間、家の中を切り盛りしているのがこの珠世さん。
突然やってきた6人+1人の居候、連動して起こる部屋割りや食糧の問題、更には仇討騒動…と、立て続けに騒ぎが起こる矢島家なのですが。それらに向き合う珠世さんの姿が…とっても明るく、さっぱりした優しさがあるんですね。
いつも笑顔で、穏やかで、前向きな姿勢。でも何ていうのかな…押しつけがましさとか、鼻につく感じとかが、不思議と全然感じられないんですよ。
家族全体へのさりげない気配りも、時に心配をかけまいと煩い事を胸にしまったりするのも、自己満足や自己陶酔からではなく心の底から溢れ出てくるものなんだなぁ…というのが伝わってくる描き方で。初夏のからっとした日差しの様な、爽やかな温もりを感じさせてくれます。
とても出来た人である上に、自然と傍に寄りたくなる親しみ易さがある珠世さん…その人柄に魅了される迄に、いくらも時間はかかりませんでしたね。

加えてこの作品は短編シリーズでもあり、物語の軸とは別に毎回起こるプチ騒動も持ち味のひとつです。恋模様あり、コソ泥騒ぎあり…。そしてその度に家族の絆が、同居人の面々が「家族」になっていく姿が深く描かれているんですよね。
特にはじめは仇討ちの決意で気を尖らせていた多津が、源太夫の屈託ない笑顔に触れ、子供達の純粋な好意に接し、珠世さんの優しい眼差しに包まれて…少しずつ、心を解きほぐしていく様がとても自然で巧いなぁと思います。
回を重ねる事に様々な味を見せてくれる登場人物達。その深みの積み重ね方は、何だか実際の人づきあいの中で感じるそれに似ています。

どうやらこのシリーズはまだ続きがあるらしく、いくつかの問題は先の話へ持ち越されそうです。
文庫化しているのかは未確認なので…一寸探してみようかな。

最後に。個人的にじんと胸に響いた部分を以下に抜粋。第三話「恋猫奔る」より、すっかり矢島家にとけ込んだ源太夫一家に対する珠世さんの想いです。(以下、諸田玲子著『お鳥見女房』/新潮文庫より抜粋)

それを迷惑と厭う気持ちはなかった。米や味噌なら、なくなれば買い足せばいい。だが、人と人とのつながりは途切れればそれで終わり。その儚さを思えばこそ、せっかく結ばれた縁は大切に育まねばと思う。

…5人の腕白っ子達に食糧を空同然にされ、改築用の蓄えを切り崩す事になっても尚、珠世さんが彼らに注ぐ深い愛情。その心の寛さに感服、です…。
 
 
同じ作品の感想記事を書いてらっしゃるブログ様:
「つらつら読書雑記」/e-tacky様

 
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