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2006年9月18日 (月)

永井路子著『一豊の妻』

シェアブログ1156に投稿
初めて永井路子作品に触れました。戦国女性を題材にした短編集です。

いやぁ、これを読んでる限りだと、随分独特の人物描写をする方ですね~実在人物に対して。
反骨精神…と迄言って良いのか分かりませんが。春日局やお江、秀忠や一豊辺りの描き方を見ていると、何がしかの「意図」を感じさせるものも含め定説にはすっぱり背を向けている印象を受けます。まぁ淀殿なんかは割とまんまでしたけど。
ですんで、「歴史人物」として真っ正面から捉えるのはやや危険かなぁ。基本的には逞しく(女性も)、骨太で(寧ろ女性が)、意外な程情の薄い戦国人達、という描写に徹していますね。
只、この人格設定が各話の中で瑞々しく生きているのは事実です。どんな時でも挑戦的でめげない女性達が、短い話にメリハリと躍動感を与えてくれてました。「短編作品」として見ればかなり面白味ある作品揃いではないでしょうかー。

んでは。ここからは作品一つひとつについて、私なりの感想をちょろっと。

「御秘蔵さま物語」
徳川家康の側室・お勝の方の話。のっけから所謂「女」になる為の行為…から始まっててどっきどきでした(笑)。トップバッターのしかも出だしからこれって…!!
七転び八起きな人生を文字通り「勝気」に渡り歩いていく様が、何ともエネルギッシュでしたよー。やがて「お勝」という名に辿り着く過程も、とにかく体当たりな感じで。
そして全編通して貫かれる、「何処迄もドライな現実主義者」としての戦国人描写…。この話で真っ先に提起され、恐らく次の「お江さま屏風」と並んで随一に顕著である様にも思えます。松平正綱の室であった時に、家康から側室の申し出を受けた時の夫婦の反応といったら…!!
強いんだなー戦国の人って、と半ば呆気に取られて見ておりました…。そしてその様子はこの先各所で見られます…。

「お江さま屏風」
続いて秀忠正室・お江の話。こう迄も薄情で淡泊なお江というのも、思い切ったモンですよねー(笑)。
いつだってのったり構えているのに、気付けば姉妹で一番の勝ち組に…。才があるのに坂を転げる様な人生を送った、お茶々との対比が印象的でした。
両者の最後の対面シーンで、お江が見せた素振りは…ひやりとした「女の怖さ」を感じた気がしましたね。薄ら寒い程の無機質さがありましたよ。
周囲の喧噪と対照的に、波風ひとつ立たない彼女の心情。妙な余韻が残りましたねぇ…。

「お菊さま」
数奇で謎めいた「お菊さま」の生涯について、姪にあたる秋姫の視点から始まる話。私この辺詳しくなくて申し訳ないのですが…有馬直純が家康の曾孫・国姫を娶るに辺り離縁した女性の事である様ですね。
作品は2部構成的な作りになっていて。漠然とした伝え聞きから見る菊姫像と、ほんの少しだけ真相に接した側からの目線がそれぞれ興味深い味の違いを生み出してくれてます。
全ての真実は只「お菊さま」の胸の中。それでも違った立場から彼女を慕う女性2人の想いがほろ苦いですね。

「あたしとむじなたち」
これは全体の中で、一寸毛色が違うかな。背景にあるのは本多家の宇都宮でのあの事件…なのですが、田畑の道はずれに住む百姓娘の目線で話が展開していくので。歴史ものより女流時代短編としての色合いが強いです。
ここで中心人物となる百姓娘、やっぱり気が据わってて逞しいのですけど、他の女性達よりも感情の動きが細やかに描かれてるのが興味深いですねー。なので他の作品に比べて、人物の気持ちに沿って話を追う事が出来たかなと。
「むじな」というのは人に化けると言われている動物ですが、狸よりもその出来は詰めが甘いそう。この表現がいやに象徴的な部分で使われているのが、後々胸にぐっと響いてきます。

「熊御前さまの嫁」
家康嫡男・信康の娘…つまりは家康の孫娘、熊御前。まぁ全体通して力強い女性達が揃ってる今短編集ですが、この方は又群を抜いて肝がふっといですよー(笑)。
ふてぶてしい迄に乱世を闊歩する女性の姿を、何処かシュールさすら感じられるタッチで描いています。只無邪気に、悪意なく、周りを掻き回してゆく様には…笑いも凍りつく感じですね。
何の因果か彼女に歯車を狂わされる形となった、坂崎出羽の悲劇も印象に残る話です。黒い運命に翻弄されるのが真っ直ぐな心根なんて…やるせない…。

「一豊の妻」
この一豊は、何とも食わせ者ですよー。まぁ今の大河で原作の司馬先生版の彼は、これ又あんまりだって位のへなちょこ様ですけど(笑)。
世に広く浸透している「賢妻・千代、凡才・一豊」の構図は、実は一豊自身による周囲の妬みを避ける為の隠れ蓑だった…というパターンの山内夫婦話でした。「女は化ける」との一豊の言葉は、言い得て妙!!(笑)
夫婦仲としては両者、決して円満ではありません。互いに腹に一物抱えた静かなるバトルを繰り広げるのですが、千代さんが乙女ちっくにかわいらしいんですよねー。何で今作品中一番、微笑ましく見られる話でした~。
現実の「結婚生活」で感じた、理想とのギャップによる幻滅…も、妙にリアリティある心情描写で笑えてしまったです(笑)。お互い似たり寄ったりなレベルでぐちぐち言ってるのが楽しい(笑)。

っとー。全体として、何処か斜に構えた雰囲気漂う作品群でしたねぇ。好き嫌いは分かれるかもしれません。
その内に、同著者の『北条政子』(だよね?)も読んでみたいな~とは、思うのですが…長編は流石に、もう少しストレートな描写があって欲しいかも(笑)。興味深くはありますけどね。


永井路子著『一豊の妻』 書籍情報はこちら→アマゾン bk1

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「歴史・時代書籍」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
ブログ・ルポから来ました、yoshiというものです。

永井路子が戦国から江戸の短編を書いていたとは知りませんでした。
しかも、レビューを拝見するとかなりオモシロそう。
今度、ブックオフとかで探してみます。

yoshi様

こんにちは。初めまして。
ご来訪&コメント有難うございます。

長々とした記事に目を通して下さり、本当有難うございます~。
結構独特の視点で描かれてますけど、それが又スパイスになってて面白い短編集でしたね。
是非見かけた時はご覧になってみて下さい☆大河の影響もあって、大分探し易くなってるかもしれませんよね。

所でyoshi様、沢山興味深い本を読破してらっしゃるんですね~。
ブログ楽しく散策させて頂きました♪ちょくちょくお邪魔させて貰おうと思います。

それではー。

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